リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)
引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。
[上巻100ページ]
【訳文】(パラグラフ途中)しかし、彼(フリードリヒ二世)はプラハ及びコリーンで嘗めた好機の逸失をここで再び味わわなければならなかった。(パラグラフ続く)
【原文】... But he had now once more to pay forfeit for the opportunities lost al Prague and Kolin, ...
【コメント】forfeitはここでは「罰金」ですね。かつてプラハとコリーンでフリードリヒはオーストリア軍を滅ぼす機会をみすみす逃してしまった。いまボヘミアのケーニヒグレーツでオーストリア軍の背後に出たのに、東からロシア軍がベルリンに攻めてきたので、惜しい獲物を捨ててプロイセンに引き返さなくてはならない、という箇所です。
【改訳案】しかしかれは、かつてプラハとコーリンでせっかくの機会を逃したことの代償を、ここでまたもや支払わなくてはならなくなった。