2004-01-01から1年間の記事一覧

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 半島戦争の節続きます。[上巻124ページ]【訳文】メリダに消極的に留まっていたヴィクトルは、スールの「消失」の後にタラヴェラに呼び戻され、そこでマドリッドへの…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 124ページ。「遂にスールが荒涼たる山地を北へ越えてガリシアへ強引な退却を行なった際には、スールの軍は損害を受けて疲労困憊し、戦闘のためのバランスをすべて喪失…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 122ページ。「スヘルデ河(オーストリア)方面の戦い」という、わが目を疑うような訳注があります。まあ、今のベルギーは、当時はオーストリア領なんですけどね。 同。…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 121ページ。「その他の[スペイン以外の]地域での成果は、不幸にも小であったが、それは一つには、この戦争の間において英国が大陸の連合諸国と行った協力が直接的で…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 今日から第八章のうち半島戦争の節です。 120〜121ページ。「スペインの、ひいてはイギリスの最大の不運は、新正規軍の編成の企図に一時的に成功したことであった。幸…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 119ページ。私が気づいた限りでは、このページには変なところが六ヶ所あります。そのうち五カ所は「ロシア軍は雪嵐に痛めつけられはしたが」「ナポレオンは麾下のバタ…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 118ページ。「その後彼は、大きく旋回して、イェナでプロシア軍を潰滅させたが、かれは主に重量そのものに頼ってこの行動を実施したと言える。というのは、かれの占め…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 117ページ。「敵がこの囮を呑込むと、ナポレオンは僅かに後退し、自分の仕掛ける罠にぴったり適合するオーステルリッツの陣地に入って敵前にとぐろを巻いた」。原文は…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 115ページ。「そしてこの時点に、ジェノアにあったフランス軍が降伏し、それによってこれまで情報を入れてくれたいわゆる「固定諜者」が居なくなってしまった」。原文…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 115ページ。「かれはミラノにおいてオーストリア軍の二軍のうちの一方に対する退路遮断を行ない、次にはその遮断線をポー河の南側からストラデラ河の隘路にまで拡大し…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻114ページ]【訳文】(パラグラフ始まり)こうして、彼は、彼のいわゆる「自然の陣地」にある敵と遭遇する前進を行うことなく、アレッサンドリアの西側に面して、…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 114ページ。「フランス軍主力はまだラインから数マイル踏込んだだけであるにもかかわらず、この内門に対する脅威はオーストリアから講和をもぎ取ったのである」。原文…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻113ページ]【訳文】(パラグラフ途中)しかしこの機動は、ヴェロナにおいてオーストリアの両軍が彼の軍を粉砕しようとしていた計画を覆してしまった。アルヴィン…

戦略論自分語り

そもそも、初めて私が世の中に『戦略論』という本があることを知ったのは、1975年夏のことだと思います。大学の講義で、天下の名著だと聞いたのです。 私が持っている訳本は、上下二巻本で1971年初版、上巻は第七版、下巻は第六版、いずれの版も1978年に出て…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻111ページ]【訳文】ボナパルトの第一回のイタリア・キャンペーンは、これまで一世紀にわたって攻勢行動(複)の勝利の叙事詩として謳い上げられ、それによればボ…

「まわりこむ」を載せている辞典、載せていない辞典

この項を書いていて、意外な発見をしました。辞典によって「まわりこむ」という言葉が載っていたりいなかったりするんですね。 「広辞苑」第五版には載っていません。 昭和18年の「明解国語辞典」にも載っていません。 「三省堂国語辞典」第五版には載ってい…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 110〜111ページ。「彼はポー河の南岸に沿って東進し、ピアセンツァに到達した後、予想されるオーストリア側のすべての抵抗線(複)を覆した」。この訳本の特徴はときど…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 110ページ。「しかし、彼(ナポレオン)は、それに続く行動において敵の両翼を席巻したので敵は平野へ押し返された」。原文は"But in his next move both their flanks…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 107ページ。「ジュールダンの軍は…ナムール河の線に達したが」。ナミュールはムーズ川とサンブル川の合流点にある町で、「ナミュール川」というのは寡聞にして聞いたこ…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻105ページ]【訳文】(パラグラフ途中)連合側侵略軍の戦争遂行は目的及び技巧において方向性を欠如したものではあったが、フランスの危険状態はさらに増大する一…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。 今日からは第八章「フランス革命とナポレオン・ボナパルト」に入ります。 この章の訳者も第七章の訳者と同じくらいの腕前で、おそらく同一人物、この本の複数の訳者の…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻102ページ]【訳文】(パラグラフ途中)しかし、フランスの戦力はその国内の地方的災害によって危機に陥ったためフランスは、今や不活発であるだけでなく疲れ切っ…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻101ページ]【訳文】(パラグラフ途中)ロシア軍はこの穏やかな暗示に直ちに反応して退却したのにもかかわらず、その後引続いて彼はトルガウにおいてオーストリア…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻100ページ]【訳文】(パラグラフ途中)しかし、彼(フリードリヒ二世)はプラハ及びコリーンで嘗めた好機の逸失をここで再び味わわなければならなかった。(パラ…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻97ページ]【訳文】(パラグラフ途中)彼(フリードリヒ二世)の行動した戦場において手持ちの要塞群が比較的少なかったことは彼の有していたもう一つの利点であ…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。[上巻96ページ]【訳文】(パラグラフ途中)しかし、ケベック以北のフランス軍背後に対するウルフの最後の無謀な上陸が成功したのに比較すると、これらの囮行動の失敗…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して嫌味を言っています。今回から七年戦争です。 今回からは、マイナーな間違いをまとめて指摘するのではなく、メジャーな間違いの前に適宜くっつけて出します。 94ページ。「オーストリア継承…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を回顧して厭みを言っています。 スペイン継承戦争は前回で終わりなので、81〜91ページのマイナーな間違いの一部を指摘しておきます。次回からは七年戦争。 81ページ。「大君主国フランスの赫々たる不…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)を検討して嫌味を言っています。[上巻91〜92ページ]【訳文】(パラグラフ途中)しかし、フランス軍は今や有能なヴァンドームに率いられており、ユージーヌ軍の到着前に前進して来た。この直接的脅威…

リデル・ハート『戦略論』の翻訳いじり(続き)

昔苦しめられた翻訳書を回顧して厭みを言っています。今日は引き続き、リデル・ハート『戦略論』の訳本(1971年刊)です。[上巻91ページ]【訳文】(パラグラフ途中)彼(マールバラ)は、足をフランダースに縛りつけられており、兵数において甚だしく劣勢…