「まわりこむ」を載せている辞典、載せていない辞典

 この項を書いていて、意外な発見をしました。辞典によって「まわりこむ」という言葉が載っていたりいなかったりするんですね。
 「広辞苑」第五版には載っていません。
 昭和18年の「明解国語辞典」にも載っていません。
 「三省堂国語辞典」第五版には載っています。

まわりこむ[回り込む](自五)回って、はいりこむ。[可能]まわりこめる

 「大辞林」第二版にも載っています。

回るようにして入り込む。「裏口に回り込む」「土俵ぎわを回り込む」

 なるほど「土俵ぎわを回り込む」で事情はだいたい想像がつきますね。広辞苑と、昭和18年時点の見坊豪紀先生は、この言葉は相撲の特殊用語であって一般的な日本語ではない、と判断したわけです。その後見坊先生はこの言葉はすでに一般的な日本語になった、と判断して見出し語に立てたが、広辞苑編集部はそうは認めなかったか、あるいは単に気づかなかった、というところでしょうか。