「小日本」と『坂の上の雲』
あまりにも長いごぶさたでした。すみません。
さて、今回の中国の反日デモ騒ぎで、いちばん印象に残ったのが、あの「小日本」という垂れ幕でした。
中国人は「小日本」と呼ばれると日本人は悔しがると思っているわけです。
ところが、あなたもわたしも、「小日本」の国民だと呼ばれて腹がたったでしょうか。
ちっとも悔しくないんですね。
そもそも、かの、左翼的な立場からは現代日本ナショナリズムの元凶と言われている、司馬遼太郎の『坂の上の雲』ですが、あの小説の書き出しを覚えていますか。
「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」です。
あの書き出しを読むと、日本人は腹がたつどころか、むしろ感奮興起します。私でさえちょっと胸キュンになります。
「小日本」はいわば日本ナショナリズムの旗じるしだといってもいいくらいなわけです。
これは、だから、やっぱり、日本人と中国人は価値観が違うんです。
中華思想かなにか知らないが、中国人は自分のところを「大中国」だと思っているわけです。
だからもしかりにどこかの国から「小中国」と言われたら、もう悔しくて悔しくて、夜も眠れないくらい傷つくのでしょう。
そういう立場からすると、日本は、過去百年くらい一発あてて景気がいいものだから、かならずや自分のところを「大日本」だと思っているであろう。したがって、「小日本」と呼んでやったら自分と同じくらい、夜も眠れないくらい傷つくだろう、と思っているのでしょう。
だからどうだ、と言う話はとくにありません。面白いな、と思っただけです。政治の話になるといけないのでこれだけにしておきます。